すきっ歯 一次釣りバカさん編②
予定時刻に駅に着き、釣りバカさんらしき人の姿を探す。
釣りバカさんらしき人は人の多い○○駅の改札付近でもすぐに見つかった。
あー…あれか。
黒のジャケットの下は英字Tシャツ、黒のスキニー、靴だけ赤のスニーカー。
ちょっとオタクな高校生が彼女とのデートのために頑張っておしゃれしてきた感がある服装だ。
正面ではなく、隣からスッと登場する。
ぐり「釣りバカさんですか?」
釣りバカ「!あっ、あっ、」
釣りバカさんが口を開いた瞬間、彼の口の中につい目が行ってしまった。
すきっ歯だ…。
これには正直、嫌な思い出ばかりがある。
尽くした挙句捨てられた例の元彼がそうだった。
留学中に付き合っていた、あまり好きになれなかったヨーロッパ人の男性がそうだった。
つまり、 すきっ歯苦手なんや…_| ̄|○llll
これに関して釣りバカさんは1ミリも悪くない。悪いのは完全に私だ。強いて言うなら私の前に現れて嫌な思い出を残して行った元彼達がすきっ歯であったことだけだ。
話を戻そう。
釣りバカ「はっはっ初めまして!!!」
そう言って彼はバッと私に右手を差し出した。
身体はカチカチ、目も泳いでいる。
LINEの時もなんとなく感じてはいたが、おそらく彼は女性と付き合った経験がないのだろう。
いや、もしかすると女性と出かけたことすらないのかもしれない。
とりあえず「初めまして〜」と言いながらその手を軽く握り、今日もあたしがリードすんだろな…と思いながら「じゃあ行きましょうか」と歩き始めた。
余談だが、私ぐりは童貞キラーだと思う。
なぜなら、
1.杉くん…童貞
2.艦これさん…おそらく童貞(どのくらい彼女居ないのかと聞くと、目を泳がせながら「いや〜…長いこといないね〜…」と答えていたから)
3.理系さん…セカンド童貞(一応非童貞だが、高校以来全くそういうことがない人)
4.釣りバカさん…おそらく童貞
ということになっているからだ。
こういう言い方をするとど変態みたいだが、ぐりはぶっちゃけると、ヤリチンより童貞の方が好きだ。むしろ童貞を好む。わりと嫉妬深く、相手を自分色に染めたい願望があるからだ。
手札が童貞ばっかりになってしまったのも、自分がそんな感じの人にだけ心を開いた結果なのではないかと思う。
気持ち悪いと思われるかもしれないが、タイプなんだからしょうがない。ちなみに、偉そうなことを言っているぐりもこの当時はまだ清らかだった。
どうでもいいカミングアウトはさておき、相変わらずガッチガチの釣りバカさんに「せっかくのお休みの日にすみません〜」などと適当に話を振りながらレストランへと向かった。
頭の中にはもう肉を食らうことしかなかった。
つづく