肉を喰らう 一次 釣りバカさん編
店に入り、予約席である窓側の席に通された。
お肉が到着するまでビュッフェコーナーのサラダなどを食べて待つシステムらしい。
さっそくビュッフェコーナーへ。
しかし釣りバカさんはサラダの前をうろうろとするだけで一向に手を伸ばさない。
ぐり「どうかしました?」
すると。
釣りバカ「いや…野菜苦手で…。」
まじか。
『好き嫌いの多い人は、人の好き嫌いも多い』
うちのおかんがよくこのように言っていました。
その言葉はあながち間違いではないと、前に付き合った彼氏から学んだぐり。
人によってはそうでなかったとしても、私は食べ物の好き嫌いがほとんどないことに加え、食べることや料理が大好き。
そんな自分にとって、食べる楽しみを共有できない人には正直魅力を感じない。
「野菜もちゃんと食べなきゃ〜」と笑いながら返しましたが、心の中では「もうねえな。」と思っていました。
お肉が来るまでは、仕事の話や大学の話など、他愛のないことを話します。
釣りバカさんの良いところは、私の話を真剣に聞いて、そこから単語を拾って、次の話題に繋げてくれるところ。
とても気を遣って話してくれてるのだなあ、と有り難いです。
しかし、ごめんなさい。
決して楽しくはないのです。
なんか、こう…面接みたい。
このあたりでぐりは気づいてしまう。
おそらく、これが普通なのだと。
理系さんのような話し上手で、しかも自分と雰囲気が似ている人が一番最初に来たからハードルが上がっているのであって、艦これさんや釣りバカさんは決して悪いわけではなく、ただ普通なだけなのだと。
理系さん、やっぱ良い人だったな…
なんて他の男性と会っているときにそんなことを思うのは失礼なのかもしれないが、なんとなく思い出してしまう。
いかんいかん、と首を振ってひたすらに肉を貪った。釣りバカさんはこちらの大食いに少し驚いているようだったが、見ていて気持ちいいとの言葉をかけてくれた。
1時間半の食事タイムが終わり、いざ会計へ。
実はちょっと気にはなっていた。
女性とデートしたことのなさそうな釣りバカさんは、会計時にはどのような行動を取るのだろうと。
まず私はいつものように座席で財布を出してみた。
釣りバカ「…」(チラ見)
こっちを見た。しかしなにも言わない。
伝票を持ってレジへ行った。
払ってくれるのだろうか?
店員「お支払いは一緒ですか?」
この後の釣りバカさんの行動が彼の命運を分けることとなった。
つづく