一次面接理系さん編 総評
食事の後、雨がより酷くなったため屋内アトラクションへ。とは言っても屋内アトラクションはもうおばけ屋敷しか残っていない。
仕方なく、今度は歩き回るタイプのおばけ屋敷へ。
ホンモノが出るとかいう噂もあるおばけ屋敷だが、お化け嫌いの私にとってはホンモノだろうがニセモノだろうが関係ない。
入る前から青ざめているぐりに、理系さんは男らしく手を差し伸べた。
理系「せっかくだし手を繋ぎませんか」
ちなみに。
こういう時繋ぎますか?というか繋げますか?さっき初めて会った人と。
しかし私の問題はそこではなかった。
身体の接触面積が広い方が安心するから、という理由で理系さんの手を振り払い、逆に自ら理系さんの背中にぴったりとくっついたのだ。今思えば謎だ。
その後は屋内ゲーセンで遊んだり、映像系アトラクションを巡ったりし、最後に観覧車に乗った。
はじめは心配していたが、私たちの話が途切れることはなかった。理系さんの話はとても面白く、また互いの境遇がかなり似ていたこともあり、話題には全く困らなかったのだ。
理系「電車の時間は何時の予定ですか?」
ぐり「5時半なので…あと2時間弱ですね。」
理系「分かりました。じゃあ雨もひどくなってきたし、僕のお気に入りの場所にお連れします。」
そう言って理系さんが車を止めたのが、海沿いのモスバーガーの店舗前。
理系「ここの奥の席、一面ガラス張りで海が見えるんです。ここでちょっとお茶していきませんか?」
素直に感動。
誘い方もスマートだし、海が見える席なんてロマンチックだ。
(実際この日は土砂降りだったせいで結露がひどく海は見えなかったのだが。)
さっきまでの大学時代にバカやった話などとは打って変わり、理系さんは私に、就職活動のことを尋ねてきた。
私は、少し選り好みはしたものの受けた会社には全落ちしたこと、二次面接以降がまったく通らなかったこと、今やる気を失っていることなどを正直に話した。
理系「僕は理系の院卒なので、正直就職には困らないんです。大学には推薦枠もあって、それを使えばよっぽどのことがない限り落ちることはありません。」
理系さんは静かに続ける。
「でも僕はそれで落ちました。5社も。
よっぽどのことがあったんでしょうね。」
理系さんいわく、落ち続けていた原因は、自分の研究内容と希望業務の乖離だったそうだ。
「就職が決まらなくて焦っていろんなところをがむしゃらに受けようとする気持ちは分かります。僕もそうでした。
でも自分のやりたいこと、やってきたことと、実際にやれることは違うんですよね。
自分の強みを固めて、いかにそれをやりたいことに上手く結びつけるかが重要なんじゃないかと、今では思います。」
さらに理系さんは「面接官全員に自分の方を向かせられたらその面接は通る」という勝利の法則と、その方法も教えてくれた。
理系「焦らなくてもいいんじゃないですか。大学を卒業するまでにゆっくり考えたらいいと思いますよ。応援してます。」
総評
この人に恋愛感情を抱けるかどうかは正直まだ分からない。
賢いのは事実だが、クールなイメージとは程遠く、ぶっちゃけオタク系だと思った。
また、道で躓くと「ふにゃっ」などの奇声を発することが数回あって引いた。
けれど、彼には人間としての十分な魅力があり、考え方は尊敬できる。この人の人間性は好きだと思った。話は間違いなく合う。性格も境遇も似ている。
交際じゃなくとも、もう一度会いたい。
帰り際、理系さんは「次は自分がそちらへ行きます」と言ってくれた。
もちろん。その時は盛大にもてなすつもりだ。
一次面接 理系さん編 終了